高嶺の花も恋をしたい!
 そんなある日、傘を忘れたことに気づき講義室へ取りに戻ると、3名の男子が残って話をしていた。

「やっぱ女子少ないよなー。当たり前だけどここ建築学科だもんな。可愛い子、全然いないし」
「けどあの子、すごいよな」
「ああ、高嶺花緒か?」

 私? 何故か私の名前が出てきたので足が止まってしまい、思いがけず盗み聞きすることになってしまった。

「そうそう、芸能人レベルの美人だよな」
「たしかに絶世の美女だけど、なんか現実味がないというか」
「あー、それわかるわ。綺麗すぎて近寄りがたいんだよな。身長だってモデルみたいに高いし。まさに名前通り、建築学科の高嶺の花だ。話しかけたところで返してもらえないのが目に見えてるし、俺的にはもうちょい可愛い寄りの方がいいな。身長も俺より低いやつ」
「俺も! ちっこい子の方が守ってやりたい感じがする」
「でも森山は仲良さそうにしてるよな? お前、高嶺の花狙いなのか?」
「いや、別に。喋ったら普通の子だったからたまに話してるだけ。中身は普通だと思うけど……」
「チッチッチ、俺は知ってるの。顔は良くてもボディがねぇ。森山の好みじゃないんだよなー」
「あ、おい、言うなよ……」
「ふっふっふ、こいつ、爆乳好きだから」
「おいっ」
「ブッ――なんだ、真逆じゃん! 高嶺の花はスレンダーでモデル体型だけど、出るとこ出てないもんなぁ」
「はぁ……まあそういうこと。だから別に好みじゃない。俺も可愛い系の抱き心地いいタイプが好みだ」
「フッ、高嶺の花は観賞用だな」
「まさにそれ。ケースに入れて眺める用」
「フィギュアかよ!」

 (観賞用……)

 盗み聞きをした私が悪いのかもしれない。でもこの時聞いてしまった観賞用という言葉は、今でもずっと私の中に残っていた。
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