高嶺の花も恋をしたい!
「たまたま5週目で専門学校がないの。いつも桃子の誘いを断ってばかりだったし、申し訳ないなと思ってたから参加するって言った」
「……そうか、行くのか」
「た……行かないの?」
「どうしようかと思ってた。俺も今日若田から聞いたところなんだ。……なんだ? どうしたんだ?」
「……あの、ね? 一つ気づいたことがあるの」

 ゴクゴクとミネラルウォーターを飲む高野を眺めながら、ため息をつく。

「私、呼び方、間違えてたんだね。『高野君』?」

 ブフォっとむせる高野。

「同期のお友達の呼び方は『高野君』が正解だったんだ」
「ゴホッ……今頃気づいたのかよ……」
「うっ……なんであの時言ってくれなかったのよー」
「いや、普通はわかるだろう? 幼稚園のお友達じゃないんだし」

 男友達なんて、その幼稚園やら小学校やらまで遡らないといないから間違えたんじゃない!

 『親しく』って、名前呼びのことだと思ったんだもん。

「クックックッ……まあいいじゃん。俺は『太一くん』気に入ってるけど? 一足飛びに距離が縮まっただろ?」
「そうかもしれないけど、でもこれからは『高野君』のほうが……」
「今さらだろう。そのままでいい。俺も今さら『高嶺』なんて呼ぶつもりないし」
「ハァ……あの時のボケた私を小突いてやりたい……」
「ハハハ、そういうとこ花緒らしくて可愛いぞ」

 う……そんな風に言われるとドキドキするじゃない。ただでさえ可愛いって言われるのに弱いのに。

 それに『花緒らしい』って、すごく私をわかってくれている気がして特別感がある。

 高野は何も意識せず言っているのだろうけど、やっぱりドキドキする。

「も、もうっ……お風呂に入ってくる」

 私はドキドキする気持ちを収めるためにお風呂へ逃げることにした。
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