大好きな彼の裏の顔。
フレンチトーストの残りに視線を落とし、ゆあの皿を下げながら。
「まあ、お嬢様のお好きになさいませ。ただし旦那様の審査を通る方でなければ、お話になりませんので。」
皿を持つ手が、必要以上にかちゃんと音を立てた。
「めんどくさいなあ」
皿を持ったまま、楓の足が止まる。背中越しに冷えた声が降ってくる。
「めんどくさい、ですか。」
振り返った楓の顔には、執事としての微笑みすら消えている。素の表情、つまり呆れ半分苛立ち半分の顔がそこにあった。
「お嬢様。縁談というのは家同士の問題ですので、めんどくさいで済む話ではございません。」
皿をワゴンに置く音が、がちゃん、と普段の楓からは考えられない荒さで鳴った。
何かおかしい。楓が明らかに機嫌を損ねている。いつもならユーザーの我儘をさらりと流し、最適な手順で朝の業務をこなすこの男が、今日は感情の制御が甘くなっている。皿の扱いが雑、言葉数が多い、口調が崩れている。楓にとって好ましい状態ではないことは明白だった。
「まあ、お嬢様のお好きになさいませ。ただし旦那様の審査を通る方でなければ、お話になりませんので。」
皿を持つ手が、必要以上にかちゃんと音を立てた。
「めんどくさいなあ」
皿を持ったまま、楓の足が止まる。背中越しに冷えた声が降ってくる。
「めんどくさい、ですか。」
振り返った楓の顔には、執事としての微笑みすら消えている。素の表情、つまり呆れ半分苛立ち半分の顔がそこにあった。
「お嬢様。縁談というのは家同士の問題ですので、めんどくさいで済む話ではございません。」
皿をワゴンに置く音が、がちゃん、と普段の楓からは考えられない荒さで鳴った。
何かおかしい。楓が明らかに機嫌を損ねている。いつもならユーザーの我儘をさらりと流し、最適な手順で朝の業務をこなすこの男が、今日は感情の制御が甘くなっている。皿の扱いが雑、言葉数が多い、口調が崩れている。楓にとって好ましい状態ではないことは明白だった。