薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
あれからも、時々ここで宝くじを買っている。

別にまた当たると思っているわけじゃない。ただ何となく、ここを見るとあの日のことを思い出すから。

そして私は、どうやら昔から変わらず、買ったあとに確認することを忘れる癖があるらしい。

「あっ」

バッグの中を探っていて、ふと思い出した。

そういえば、前に買った分。

まだ確認していない。

あの時も、こんなふうに何でもない時に突然思い出したのよね。

私はベビーカーの中にいる橙を覗き込んだ。

「橙、ちょっと確認に行こうかぁ〜」

もちろん返事はないけれど、勝手に了承されたことにする。

売り場へ向かい、以前買った分を確認してもらおうとした時だった。

横に並んでいたスクラッチが目に入った。

「あっ、懐かしい」

昔好きだったキャラクターの限定デザイン。

可愛い。

本当に、それだけだった。

ついつい数枚買ってしまい、確認してもらっている間に、その場で何となく削ってみる。

一枚目。

外れ。

二枚目。

これも外れ。

まあ、そんなものだよね。

そう思いながら三枚目を何気なく削った。

「…………え?」

もう一度見る。

見間違いかと思って、残っているところまで丁寧に削る。

説明を見る。

券を見る。

数字を見る。

もう一度、券を見る。

「……え?」

理解するまでに、少し時間が掛かった。

そして。

「えーーーーーーっ!?」

売り場の前で思いっきり叫んだ。

ベビーカーの橙がびくっと身体を動かし、驚いたようにこちらを見る。

「ご、ごめん!」

でも。

待って。

本当に待って。

一等。

一億円。

また、当たった。

ロト7の一等、約十二億円。

それだけでも一生分どころか何人生分かの運を使ったと思っていたのに、今度はスクラッチの一等、一億円。

私はしばらく券を見つめたあと、ベビーカーの橙へゆっくり顔を向けた。

「……橙」

当然、何も分かっていない。

「ママ、また当たったみたい」

橙は、何が楽しいのか分からないまま、にこっと笑った。
< 286 / 290 >

この作品をシェア

pagetop