薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
家へ帰ってからも、私はしばらく呆然としていた。
明日の準備もしなければならないし、買ってきたものも片づけなければならない。
時計を見ると、十四時を少し回ったところだった。
胡凛が帰ってくるのは十五時過ぎ。そのあと、美蘭や翠、然と岳もそれぞれ順番に帰ってくる。
つまり、あと一時間ほどは静かだ。
家にいるのは、私と橙だけ。
そして、ダイニングテーブルの上には。
一億円。
――正確には、一億円になる券。
昔なら、大金が入ると分かっただけで、それによって人生そのものが変わると思っていた。
実際、最初の十二億円は私の人生を大きく変えた。
でも今、何に使うかと考えてみても、不思議なくらい何も思いつかない。
家はある。
子どもたちの将来のお金も十分ある。
日々の生活にも困っていないし、欲しいものだって今さらそんなにない。
「……陸斗さんに連絡してみようかなぁ」
スマートフォンを手に取る。
いや、やめよう。
仕事中だし。
帰ってきてから言えばいい。
そう思ったのに、やっぱり誰かに話したくなった。
結局LINEを開き、
『早く帰ってきて。話したいことがある』
と送った。
普通。
ものすごく普通。
私はそう思っていた。
◇
それから一時間ほど経った頃。
十五時を少し過ぎたところで、玄関からものすごい音がした。
「奏ーーー!」
「えっ!?」
何事!?
リビングへ飛び込んできた陸斗さんは、スーツ姿のまま息を切らしていた。
「何事ですか! 何かあったんですか!」
「いや、何も――」
「具合悪い? 橙に何かありました? 子どもたちは?」
「みんな大丈夫ですけど」
「じゃあ何ですか!」
私が答えるより先に、陸斗さんの顔がどんどん深刻になっていく。
「もしかして……俺の愛が重すぎました?」
「今さら?」
「離婚ですか?」
「は?」
「それとも、子どもが増えすぎて疲れたから離婚とか」
「何で全部離婚に着地するんですか!」
「離婚はしませんよ!」
「私まだ何も言ってない!」
明日の準備もしなければならないし、買ってきたものも片づけなければならない。
時計を見ると、十四時を少し回ったところだった。
胡凛が帰ってくるのは十五時過ぎ。そのあと、美蘭や翠、然と岳もそれぞれ順番に帰ってくる。
つまり、あと一時間ほどは静かだ。
家にいるのは、私と橙だけ。
そして、ダイニングテーブルの上には。
一億円。
――正確には、一億円になる券。
昔なら、大金が入ると分かっただけで、それによって人生そのものが変わると思っていた。
実際、最初の十二億円は私の人生を大きく変えた。
でも今、何に使うかと考えてみても、不思議なくらい何も思いつかない。
家はある。
子どもたちの将来のお金も十分ある。
日々の生活にも困っていないし、欲しいものだって今さらそんなにない。
「……陸斗さんに連絡してみようかなぁ」
スマートフォンを手に取る。
いや、やめよう。
仕事中だし。
帰ってきてから言えばいい。
そう思ったのに、やっぱり誰かに話したくなった。
結局LINEを開き、
『早く帰ってきて。話したいことがある』
と送った。
普通。
ものすごく普通。
私はそう思っていた。
◇
それから一時間ほど経った頃。
十五時を少し過ぎたところで、玄関からものすごい音がした。
「奏ーーー!」
「えっ!?」
何事!?
リビングへ飛び込んできた陸斗さんは、スーツ姿のまま息を切らしていた。
「何事ですか! 何かあったんですか!」
「いや、何も――」
「具合悪い? 橙に何かありました? 子どもたちは?」
「みんな大丈夫ですけど」
「じゃあ何ですか!」
私が答えるより先に、陸斗さんの顔がどんどん深刻になっていく。
「もしかして……俺の愛が重すぎました?」
「今さら?」
「離婚ですか?」
「は?」
「それとも、子どもが増えすぎて疲れたから離婚とか」
「何で全部離婚に着地するんですか!」
「離婚はしませんよ!」
「私まだ何も言ってない!」