薔薇色って何色?――ロト7で人生をやり直すはずが、敏腕弁護士の執着愛に捕まりました――
家へ帰ってからも、私はしばらく呆然としていた。

明日の準備もしなければならないし、買ってきたものも片づけなければならない。

時計を見ると、十四時を少し回ったところだった。

胡凛が帰ってくるのは十五時過ぎ。そのあと、美蘭や翠、然と岳もそれぞれ順番に帰ってくる。

つまり、あと一時間ほどは静かだ。

家にいるのは、私と橙だけ。

そして、ダイニングテーブルの上には。

一億円。

――正確には、一億円になる券。

昔なら、大金が入ると分かっただけで、それによって人生そのものが変わると思っていた。

実際、最初の十二億円は私の人生を大きく変えた。

でも今、何に使うかと考えてみても、不思議なくらい何も思いつかない。

家はある。

子どもたちの将来のお金も十分ある。

日々の生活にも困っていないし、欲しいものだって今さらそんなにない。

「……陸斗さんに連絡してみようかなぁ」

スマートフォンを手に取る。

いや、やめよう。

仕事中だし。

帰ってきてから言えばいい。

そう思ったのに、やっぱり誰かに話したくなった。

結局LINEを開き、

『早く帰ってきて。話したいことがある』

と送った。

普通。

ものすごく普通。

私はそう思っていた。



それから一時間ほど経った頃。

十五時を少し過ぎたところで、玄関からものすごい音がした。

「奏ーーー!」

「えっ!?」

何事!?

リビングへ飛び込んできた陸斗さんは、スーツ姿のまま息を切らしていた。

「何事ですか! 何かあったんですか!」

「いや、何も――」

「具合悪い? 橙に何かありました? 子どもたちは?」

「みんな大丈夫ですけど」

「じゃあ何ですか!」

私が答えるより先に、陸斗さんの顔がどんどん深刻になっていく。

「もしかして……俺の愛が重すぎました?」

「今さら?」

「離婚ですか?」

「は?」

「それとも、子どもが増えすぎて疲れたから離婚とか」

「何で全部離婚に着地するんですか!」

「離婚はしませんよ!」

「私まだ何も言ってない!」

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