天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
逆に心配されてしまったことに驚く。落胆の目ではなく、同情の目だったとは。

黎士のTPO作戦が功を奏したのか、藍衣と黎士はただの同僚――むしろ折り合いがよくないと思われていたようだ。

「……少しずつ、親睦を深めているところです……」

おずおずと説明すると、周囲は神妙な顔で意見を交わし始めた。

「相手が滝沢先生なのは羨ましいけど、勝手に結婚相手を決められて嬉しいわけないもんね」

「黒芭さんってそういうの嫌いそうだし。資産家って大変だねー……」

横を見れば、一葉もこの反応は想定外だったらしく目が点になっている。

「ああーん、変わってあげたい!」

体をくねらせて地団太を踏む看護師の横で、別の看護師が「いや、滝沢先生の相手があんたじゃなくて黒芭さんで、本当によかったわ」と呆れた声をあげた。

(まさか受け入れられた……?)

一葉がパンパンと大きく手を叩いて場の空気を変える。

「まあ、そういうことだから。ふたりのことはそっとしておいてあげて」

はーい、わかりましたー、など口々に返事をする看護師たち。

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