天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
すでに興味は別の男性にうつったようで「二〇一の面会によく来るあの格好いい人、社長で独身らしいよ!」「この前、招聘されてた武凪って先生、独身かな?」と次のターゲットに向けて情報交換が進んでいる。

「奥平統括部長~! またイケメンの医師、引き抜いてきてくださいよ~」

「はいはい、任せて。あなたたちのモチベーションは私が守るわ」

集まっていた看護師たちは、蜘蛛の子を散らすみたいにそれぞれの持ち場に戻っていく。

藍衣は一葉の耳元に向かって小声で「ありがとうございました」と感謝を伝えた。

「あなたも大変な人に見初められちゃったわね」

一葉は同情のこもった笑みでスタッフルームをあとにする。

本当に、どうしてこんなことに。自分が一番、現状に困惑している。



しばらくすると、黎士が回診から戻ってきた。廊下ですれ違った藍衣は、周囲に誰もいないのを確認して小声で話しかける。

「先ほど、統括部長が私たちの婚約についてみなさんに説明してくださいました」

「そうか。助かる」

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