天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「でしたら、こちらのグランドスイートはいかがでしょう? リビングとプレイルーム、寝室、ゲストルームに分かれておりまして、それぞれ家具や壁紙が異なりますので、気分を変えて楽しんでいただけるかと」

「あー! めっちゃいいじゃん! この壁紙、すごくかわいい」

気に入ってもらえたようだ。値段も問題ないとのことなので、さっそく転室の準備を進めることにする。

説明を終えた藍衣は「こちら、お下げしますね」とあまり手のつけられていない昼食のトレイを持って部屋を出た。



その日の夕食も東雲はあまり手をつけなかったと担当の看護師から聞き、藍衣は家に帰ってもまだ唸り声をあげていた。

本人曰く、食べる必要のあるとき以外は、面倒なので食べたくないとのこと。

そして『食べる必要のあるとき』というのが――。

「これかあ……」

藍衣はリビングのソファに座りながらスマホを眺めた。画面をゆっくりとスクロールさせ、SNSの投稿を一件ずつ追っていく。

投稿主の名前は『一苺』――東雲のアカウントだ。本人のかわいらしい画像に加え、『〇〇やってみた』のような企画・検証系のコンテンツを投稿しているらしい。

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