天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「はい、完食されたそうです。ですが、翌日からはあまり食べていないみたいで」

「投稿しないなら完食する必要もないって? ある意味、徹底しているな」

食事に関する投稿はこれで最後だ。似たようなメニューを連日投稿しても反応が薄いと見込んだのだろう。

「SNSにアップしない日も、なんとか食べていただけないでしょうか……あるいは、毎日SNSに上げていただく方法とか」

黎士が「無理だろ」と腰に手を当ててキッチンに向かう。

「具合が悪くて食べられないとかじゃないなら、食べろと指導すれば済む話だ」

「それではロイヤルフロアのコンシェルジュの名折れです。無理やり食べてもらうのではなく、進んで食べていただくのが腕の見せ所と言いますか」

「……それ、本当にコンシェルジュの仕事か?」

呆れたように嘆息して冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。グラスを呷りながら、不満げに続けた。

「頑張るのは藍衣じゃなくて、調理師とか栄養士とか、そっちのやつらだろ。たとえば……あいつとか」

「あいつ……?」

「藍衣とやたら親しげにする、いけ好かないあの男のことだ」

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