天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
一葉の仲裁によりその場は収まったものの、郷一郎から『娘たちの病室には立ち入るな』と厳命されてしまった。
患者の親がそう要求するのだから、病院側としては黎士に非があろうがなかろうが受け入れざるを得ない。一葉もこればっかりは素直に従うしかなかった。
治療をさせてもらえず見舞いもできない、八方塞がりになりかけていた三日目の夜更け。
当直で遅くまで残っていた黎士は一葉に呼び出され、藍衣の入院する病室に向かった。
「君は藍衣と仲がよかったから、心配しているだろうと思って」
今なら大丈夫だから、と見舞いを許してくれた。一葉自ら個室のドアを開けて通してくれる。
常夜灯と生体モニターの光りがわずかに灯る部屋で、藍衣は安らかに眠っていた。
思わず涙が込み上げてくるが、背後に一葉がいる手前、泣くわけにもいかずにぐっと堪える。
どうしてこうなった? なにがいけなかった?
あれから黎士は自分を責め続けていた。
搬送した救急隊員いわく、病院近くの歩道橋の階段からふたりとも落ちたらしいとの話だったが、実際にその様子を見た者はいない。
患者の親がそう要求するのだから、病院側としては黎士に非があろうがなかろうが受け入れざるを得ない。一葉もこればっかりは素直に従うしかなかった。
治療をさせてもらえず見舞いもできない、八方塞がりになりかけていた三日目の夜更け。
当直で遅くまで残っていた黎士は一葉に呼び出され、藍衣の入院する病室に向かった。
「君は藍衣と仲がよかったから、心配しているだろうと思って」
今なら大丈夫だから、と見舞いを許してくれた。一葉自ら個室のドアを開けて通してくれる。
常夜灯と生体モニターの光りがわずかに灯る部屋で、藍衣は安らかに眠っていた。
思わず涙が込み上げてくるが、背後に一葉がいる手前、泣くわけにもいかずにぐっと堪える。
どうしてこうなった? なにがいけなかった?
あれから黎士は自分を責め続けていた。
搬送した救急隊員いわく、病院近くの歩道橋の階段からふたりとも落ちたらしいとの話だったが、実際にその様子を見た者はいない。