天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
つまり、娘たちの結婚に口を出さないことが遺産相続――借金返済の条件となっているらしい。
その管理を一葉に任せると書いてある。一葉の許可が下りなければ、郷一郎は金銭を受け取れない。そして――。
『【また、弁済を除き、その他一切の遺産を相続させないものとする】』
「一切……だと!?」
郷一郎が凍り付く。貞平の遺産はほかにも山ほどあるはずだが、借金返済以外の相続は認められなかった。
『もうこんなことはやめて戻ってきなさい。でないと、私の権限であなたに遺産は渡さない』
一葉の脅しに、郷一郎はふっと狡猾な笑みを浮かべた。
「かまわん。ならば相続を放棄しよう」
『……! どうして!』
愕然とする一葉。これまで黙ってやり取りを聞いていた黎士が口を開いた。
「とある経営者から聞きました。あなたの借金は五億では収まらないそうですね」
眉間に皺を寄せる郷一郎。沈黙が肯定を物語っている。
「彼女たちを売れば五億以上儲けられる、そう踏んでいるのでしょう」
静かに言葉を付け足すと、画面の奥の一葉が『なんてこと……!』と声を上げた。弟の卑しさに呆れ果てたのだろう。
その管理を一葉に任せると書いてある。一葉の許可が下りなければ、郷一郎は金銭を受け取れない。そして――。
『【また、弁済を除き、その他一切の遺産を相続させないものとする】』
「一切……だと!?」
郷一郎が凍り付く。貞平の遺産はほかにも山ほどあるはずだが、借金返済以外の相続は認められなかった。
『もうこんなことはやめて戻ってきなさい。でないと、私の権限であなたに遺産は渡さない』
一葉の脅しに、郷一郎はふっと狡猾な笑みを浮かべた。
「かまわん。ならば相続を放棄しよう」
『……! どうして!』
愕然とする一葉。これまで黙ってやり取りを聞いていた黎士が口を開いた。
「とある経営者から聞きました。あなたの借金は五億では収まらないそうですね」
眉間に皺を寄せる郷一郎。沈黙が肯定を物語っている。
「彼女たちを売れば五億以上儲けられる、そう踏んでいるのでしょう」
静かに言葉を付け足すと、画面の奥の一葉が『なんてこと……!』と声を上げた。弟の卑しさに呆れ果てたのだろう。