天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
「これは着物というか、白無垢です……」

意味も重みも違うそれらを同列に語る彼に、いっそ呆れてしまう。

彼の用意したサプライズがウエディングフォト撮影なのだと気付いて、笑顔がこぼれた。

「みんなを呼んで挙げる式は、まだ少し時間がかかりそうだから、今はこれで我慢」

「……日本語の使い方がおかしいですよ。これは我慢じゃなくて贅沢って言うんです」

「まあ、俺にとっては贅沢だな。花嫁衣裳の藍衣をみんなよりも先にひとり占めできる」

「いつだってひとり占めしてるくせに」

思わずふふっと笑みがこぼれる。すぐひとり占めしたがる黎士は、すでに藍衣のあらゆるすべてを独占していることに、まだ気づかないらしい。

ふたりはヘアメイクを施し、衣装に着替え、スタッフの案内で敷地内の緑豊かな庭園に向かう。

和装で艶やかな髪をサイドに分けた黎士はいっそうの美丈夫で、スタッフやカメラマンも息を呑むほどだ。

そんな彼をひとり占めできる自分こそ贅沢者だと藍衣は思う。

「頑張って一番かわいい笑顔、作りますね」

石造りの太鼓橋の上で、ポーズを決めながら囁くと。

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