天才外科医の密かなる執愛~傾国の微笑は運命を耽美に狂わせる~
緑の続く道をナビに従い進んでいくと、やがて視界が開け、蜂蜜色の壁とオレンジの瓦屋根が特徴的な別邸が見えた。
「ここです。……懐かしいな」
建物の正面に車を停め、門を入り玄関に進む。
カメラのない昔ながらのチャイムを押すと、中から「は~い」という快活な声が響いてきた。
それが姉のものだとすぐにわかり、期待に胸が高鳴る。
やはり姉は、日常生活には支障がない程度に心身が回復しているようだ。でなければ、こんな明るい返事をするわけがない。
藍衣がドアの前に立ち、黎士は一歩下がったところで待つ。
やがてガチャリと鍵の開く音。ドアの奥からは「買い出し、随分早かったですね」という元気な声。
警戒もせずにドアを開けたところを見ると、藍衣たちの来訪を、買い出し中の使用人が戻ってきたものだと勘違いしたのかもしれない。
「あ、もしかして、お財布でも忘れました?」
屈託のない声とともにドアが開き、ラベンダー色のワンピースを着た髪の長い女性の姿が見えて――。
「朱璃姉さん……!」
しかし、彼女は妹とそのうしろにいる黎士の姿を見るなり、顔をこわばらせた。
「藍衣……」
「ここです。……懐かしいな」
建物の正面に車を停め、門を入り玄関に進む。
カメラのない昔ながらのチャイムを押すと、中から「は~い」という快活な声が響いてきた。
それが姉のものだとすぐにわかり、期待に胸が高鳴る。
やはり姉は、日常生活には支障がない程度に心身が回復しているようだ。でなければ、こんな明るい返事をするわけがない。
藍衣がドアの前に立ち、黎士は一歩下がったところで待つ。
やがてガチャリと鍵の開く音。ドアの奥からは「買い出し、随分早かったですね」という元気な声。
警戒もせずにドアを開けたところを見ると、藍衣たちの来訪を、買い出し中の使用人が戻ってきたものだと勘違いしたのかもしれない。
「あ、もしかして、お財布でも忘れました?」
屈託のない声とともにドアが開き、ラベンダー色のワンピースを着た髪の長い女性の姿が見えて――。
「朱璃姉さん……!」
しかし、彼女は妹とそのうしろにいる黎士の姿を見るなり、顔をこわばらせた。
「藍衣……」