さようなら、お別れしましょう
 イーザック様の妃になれて、喜びを我慢できないのだろう。

「いいえ、お気になさらないでください」

 私は泣き真似をしているメリアに、にっこり微笑んだ。

「え……? どうして、笑顔に……?」
 
 ――赤髪の女商人の言っていたことは本当だった!

 結婚すれば、運命が変わると、彼女は言った。

 ――夫からの別居の提案は、願ってもないチャンス!

 私の夢は自由になること。

「妻の仕事はどうなりますか?」
「妻の役目はメリアがやる」

 王宮から出て、今よりずっと行動に制限がなくなるどころか、妻の仕事もしなくていい。
 私の最終的な目的は、この左胸に刻まれた【契約】を無効にすること。
 そのことに、イーザック様は気づいていない。

 ――イーザック様、あなたにお礼を言いますわ。

 限られた自由であっても、私は生まれて初めて自由を得た。

「私、別居します!」

 ありがとう、別居!
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
 満面の笑みを浮かべ、別居宣言をしたのだった。

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