さようなら、お別れしましょう
「ベルタ、知ってるかしら? お父様はわたくしたちを宝物だと言っていたのよ。家族がいて幸せだって」
「え……」
「でも、今はどう? お父様は浮気相手とその子供と暮らしているのよ。わたくしたちを捨ててね」

 しかも、浮気相手との間にできた子供を伯爵にすると言い出した。
 もちろん、そんなこと許さない。
 わたくしが王妃になったら、どんな手を使ってでも廃嫡にしてやるつもりでいる。
 
 ――レフィカ様が邪魔だわ。

「ベルタ。レフィカ様がいる限り、わたくしは愛されないのよ」
「レフィカ様がいる限り……」

 わたくしは泣きながら、ベルタの腕にすがった。 

「レフィカ様がいなかったらよかったのに!」
「いなくなれば、メリア様は幸せになれるのですね?」
「ええ、そうよ」

 ベルタは暗い笑みを浮かべた。

「わかりました。メリア様のため、私がレフィカ様を始末します」
「そんな……ベルタ!」
「お任せください。今度は私がメリア様をお助けします!」

 涙をぬぐって、わたくしは微笑んだ。

「ありがとう、ベルタ。わたくしを助けてくれるのは、あなただけよ」
 
 ――邪魔なレフィカ様を消してくれるのは、ベルタだけよ。

 わたくしにお礼を言われたベルタは、誇らしげな顔をしていた。
 貧しく治安の悪いところで生まれ育ったベルタ。
 手を汚すことを厭わない。
 
 ――いい拾い物をしたわ。

 忠実なベルタは、この日のうちに王宮から姿を消した。
 わたくしの望みを叶えるため、シャルク・ホジャへ向かったのだった――
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