さようなら、お別れしましょう
 いったいどんなすごい相談なのだろう。
 ジグルズ様の考えを探るように、琥珀色の瞳を覗き込んだ。

「そんな嬉しそうな顔で、聞いたらがっかりするかもしれないぞ」
「ジグルズ様が初めての相談者なんです。はりきって聞かせてもらいます!」

 待ちに待った相談者第一号である。
 猫探しでも、草むしりでも、なんでもやる所存だ。

「では、相談させてもらおうか」
「はい。どんな些細なことでも構いません!」

 私の必死すぎる態度がおかしかったのか、ジグルズ様は笑いをこらえながら言った。

「町が大きくなり、新しい道が増えた。よそから来た人間でも、迷わず歩けるようにしてもらいたい」

 ジグルズ様の目は町を見ていた。
 そういえば、小さな子が狙われ、さらわれるという事件も起きていると、ハリルが先ほど言っていた。
 町が発展し、豊かになっても、いいことばかりではないようだ。

「住んでいる人間でさえ、すぐに変わる町に戸惑うくらいだ。治安を良くするためにも、協力してくれ」
「もちろん、協力させていただきます」

 私たちが話している間も、木材や石材を加工する音、資材が荷車で運ばれていくのを目にした。
 シャルク・ホジャという町は、まだまだ大きくなる。
 今、住んでいる人だけで終わらない。
 
「ハリル。レフィカの力になってやってくれ」
「わかりましたっ!」

 ジグルズ様に頼まれ、ハリルは嬉しかったのか、力強く返事をした。

「レフィカ様。おれにできることがあったら、なんでも言ってくださいっ!」
「本当ですか? 助かります」

 ――迷わず歩くには地図が必要……。地図はわかるけど、よそから来た人が、すぐにわかる地図って、どんなものがいいかしら。

 シャルク・ホジャは大陸の東西南北を結ぶ町で、この町にいるのは、様々な国の人間である。
 異国の人でも、わかりやすい地図でなくてはならない。
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