さようなら、お別れしましょう
 私は水で落ちない特殊な絵の具を用意し、絵の具が入った缶を広間へ運び入れた。
 ジェレンや侍女たち、屋敷の人たちが広間に集まり、私がなにを始めるのか興味津々だった。

「レフィカ様、なにをなさるんですか?」
「まるで、看板屋ですね」
「えっと、おれが当てるよっ! 町役場の看板を大きくして、見やすくるとか? そうしたら、どこから見ても町役場が見れるよ!」

 それを聞いたジェレンが即座に否定する。

「他の建物に阻まれて、遠くから見えませんわ」
「うー……。そっかぁ……」

 残念そうな顔をして、ハリルは絵の具が入った缶を開けた。
 
「看板は正解ですよ。地図を描いた看板を町の数ヵ所に置く予定です。町の案内板を設置します」
「町の案内板とは考えましたね」
「なるほど。町が大きくなっても、案内板があれば迷わないか」

 お屋敷の人たちは、さっきまで心配そうに見ていたのに、今は広間にまで入ってきて、下書きの地図を眺めていた。

「よくできた地図ですね。わかりやすい絵です」
「子供でもわかるだろうなぁ」
「なるべく、言語ではなく絵でわかるようにしました」

 下書きでは、わざと町役場を目立つように大きく描いている。
 そうすることで、はぐれた人たちが、町役場の前で会えるのではと考えた。

「この細長い板には矢印を描きます。役場までの道案内用の矢印です」
「たしかに、矢印があれば、町役場まで迷わずにいけますわ」

 ジェレンは矢印用の看板を手にした。

「町役場の建物は石造り、四角くて二階建て。統一した絵で描いてみました」
「レフィカ様、絵がお上手ですね」

 ジェレンが私の拙い絵を称賛してくれた。
 
「港や病院とか、主要な場所の矢印も増やしていく予定ですが、まずは町役場だけ、やってみようと思います!」

 髪を結び、エプロンをつけた。
 
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