さようなら、お別れしましょう
「ハリル、色を塗るのを手伝ってもらっていいですか?」
「うん! まかせて! おれ、けっこううまいよ。母さんに似顔絵をプレゼントして、褒められたことあるからさ」

 ハリルは腕まくりして、絵筆を握った。
 下書きで指定された色を塗っていく。
 他の人たちも気になるのか、地図を眺めてソワソワしていた。

「こうして絵で見ると、異国風の建物がかなりあって、屋根の形や建物の形で、わかりやすいですね」
「あっ! ここは老舗のパン屋じゃないですか? すぐにわかりました。丸形のパンが美味しい店ですよね!」

 侍女が『こんなパンです』と、絵を描き足した。
 屋敷の人たちが集まってきて、そこは茶葉の専門店で、ここが肉屋で焼いた骨付き肉がうまいとなど、話して絵を追加する。
 私が知らない店や気になる場所が、たくさんあった。
 すごくワクワクする地図ができ、私のでかけたい場所が増えた。

「地図には描かれてないですけど、ここにはハート形の葉っぱの木があって、恋人と一緒に立つと、結婚できるっていうジンクスがあるんですよ!」
「ちょっと遠くなりますけど、運河が終わった海のほうに、港があるでしょう? ここに新鮮な貝や魚を焼いてる屋台があって美味しいんですよぉ~」

 おすすめスポットをみんなが詳しく教えてくれた。

「どの場所も行ってみたいですね」
「レフィカ様、ガラス細工に興味ありましたよね? 細工商人たちが集まる工房はこの通りにあって……」
「こっちには布をたくさん取り扱ってる店があるんですよ。ドレスの布地を選べます!」
「それなら、ここが……」

 もっと言おうとしたのをハリルが止めた。
 
「待った! みんなで一度に言っても、覚えていられないって!」
「でも、レフィカ様に、ぜひ行ってほしいんです」
「気に入ること間違いなしですよ!」

 みんなが教えてくれた場所は、どれも興味があった。
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