さようなら、お別れしましょう
 イーザック様の疑問は当然のような気がした。
 第一王子でありながら、王位をみずから捨てたジグルズ様。
 体は健康で優秀、人望もあり、王としての空気をまとう。

「兄上ではなく、俺を選んだのは、メリアだけだった。他の誰もが兄上を尊敬し、恐れていた。兄上を嫌った父上ですら!」
「……王にならなかった理由は言えない」

 ジグルズ様は頑として言わなかった。

「兄上は隠し事ばかりだ」

 イーザック様は理由を話そうとしないジグルズ様に落胆していた。
 イーザック様はそれでも、ジグルズ様を尊敬している。
 その証拠に、私に『今すぐ戻るぞ』とは言わなかった。

「レフィカ、二日だ。二日だけ兄上の元に滞在したら、王宮へ戻る」

 ジグルズ様に地図を完成させてからと言われ、譲歩した時間――それは、たった二日間だった。

「二日……。そんな急には……」
「後は王宮で厳重に警備し、お前を守ってやる」

 ――それは、幽閉ではないのですか?

 私の命を握るイーザック様に、私は逆らえなかった。
 残り二日。
 楽しいシャルク・ホジャでの生活は、突然現れた夫によって、終わりをつげようとしていた。

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