さようなら、お別れしましょう
「ジグルズ様! 死なないでください! このまま、お別れなんて絶対に嫌です!」
私にとって、ジグルズ様がどれだけ大切な人なのか、まだ伝えていない。
口にできない私の想い。
ここであなたが死んでしまうというのなら、私はこの命を失ってでも、自分の気持ちを伝えたい――
「私はあなたのことが……!」
「ジグルズが命をかけ、助けた命を捨てるつもりか?」
私の口を塞いだ手があった。
それは浅黒い肌の手で、指には宝石のついた指輪がいくつもある。
その手に私は見覚えがなかった。
驚いて、わたしの口を塞いだ相手の顔を見上げた。
「まったく、ジグルズはいつも血まみれだな」
しゃらりとアクセサリーの音がなる。
異国の服装をした浅黒い肌に、藍色の目をした男性は、ふふっと笑った。
「お前がイレーネの妹で、ドーヴハルクの王女だな。ジグルズから聞いている」
そう言って、私の口を塞いでいた手をはずした。
「泣かなくていい。ジグルズはこの程度で死ぬような可愛げのある奴ではない」
やれやれとため息をつき、船着き場のほうに声をかける。
「船室にいる俺の侍医を呼べ! 薬を惜しむな。足りなければ、本国から取り寄せろ!」
ゼリヤが彼の足元に跪き、頭を下げた。
「感謝いたします。リュザール王国王子、カリム殿下」
「ゼリヤか。ジグルズが出迎えると言っていたのに、どこにもいないから探したぞ」
「申し訳ございません」
「まあ、いい。ジグルズは俺の友人だ。友人を苦しめた罰として、暗殺者どもを一人子残らず捕らえ、砂漠の毒蠍の巣にでも放り込んでやろう」
カリム様は優しげに微笑みながら、恐ろしいことを言う。
夜風に紗の長い布がなびく。
それはジグルズ様が、持っていた布と同じだった。
彼がジグルズ様の友人で、イレーネお姉様のことを知っている人なのだとわかった――
私にとって、ジグルズ様がどれだけ大切な人なのか、まだ伝えていない。
口にできない私の想い。
ここであなたが死んでしまうというのなら、私はこの命を失ってでも、自分の気持ちを伝えたい――
「私はあなたのことが……!」
「ジグルズが命をかけ、助けた命を捨てるつもりか?」
私の口を塞いだ手があった。
それは浅黒い肌の手で、指には宝石のついた指輪がいくつもある。
その手に私は見覚えがなかった。
驚いて、わたしの口を塞いだ相手の顔を見上げた。
「まったく、ジグルズはいつも血まみれだな」
しゃらりとアクセサリーの音がなる。
異国の服装をした浅黒い肌に、藍色の目をした男性は、ふふっと笑った。
「お前がイレーネの妹で、ドーヴハルクの王女だな。ジグルズから聞いている」
そう言って、私の口を塞いでいた手をはずした。
「泣かなくていい。ジグルズはこの程度で死ぬような可愛げのある奴ではない」
やれやれとため息をつき、船着き場のほうに声をかける。
「船室にいる俺の侍医を呼べ! 薬を惜しむな。足りなければ、本国から取り寄せろ!」
ゼリヤが彼の足元に跪き、頭を下げた。
「感謝いたします。リュザール王国王子、カリム殿下」
「ゼリヤか。ジグルズが出迎えると言っていたのに、どこにもいないから探したぞ」
「申し訳ございません」
「まあ、いい。ジグルズは俺の友人だ。友人を苦しめた罰として、暗殺者どもを一人子残らず捕らえ、砂漠の毒蠍の巣にでも放り込んでやろう」
カリム様は優しげに微笑みながら、恐ろしいことを言う。
夜風に紗の長い布がなびく。
それはジグルズ様が、持っていた布と同じだった。
彼がジグルズ様の友人で、イレーネお姉様のことを知っている人なのだとわかった――