さようなら、お別れしましょう
「父上。俺は納得できません」
「お前は優秀だが、王としての覚悟が足りてない。その点だけが残念だ」
「陛下、わたくしの教育不足で申し訳ございません」
父は俺ではなく、母に冷たい目を向けた。
そんな目をされるのは、俺のはずが、父は母を責めていた。
「王の力を捨てた国は多い。今、残っているのは隣国ドーヴハルクと我が国だけです」
王の力は犠牲の力だ。
それぞれ、力や犠牲の条件は違っても、近しい人間の命を代償にするのは同じ。
王の力は愛する人を奪う忌まわしいもの――捨てた王家のほうが多い。
「神から与えられた力を失えと?」
「時代は変わり、王が戦場に出向くことも減りました。王の力は必要ない時代です。父上で最後にしていただきたい」
――母を救いたい。
母の命の対価で得るほどの力ではない。
俺は母が犠牲にならず、生きていてほしいと願っていた。
「では、ジグルズ。剣を抜け。お前が勝てば、王の力は必要ないと認めよう」
父の琥珀色の瞳が赤く染まり、『先を見る』王の力を使ったのだとわかった。
言われた通り剣を抜く。
俺が勝てば、父は諦め、母は死なずに済む。
俺は幼い頃から、母が死なずに済むよう学問、武芸、外交に力をいれ、完璧な王子になろうとしてきた。
――父に勝つ!
先がわかる父に、奇襲を仕掛けたところで無意味だ。
なら、剣の腕で勝つ――それしかない。
父は剣を抜き、不敵に笑う。
――相手は油断している。考えろ。どうすれば、勝てるのかを!
数回、父は俺の剣の腕を確認するのに、軽く受け止めるだろう。
まずは、自分のほうが優位だと思い込ませる。
俺の予想通り、父は軽く俺の剣を受け止めた。
父は子供と遊んでやっているという顔をしていた。
だが、父が俺の剣を叩き落とそうと、攻撃に出た瞬間、身を引いて守りに徹する。
「お前は優秀だが、王としての覚悟が足りてない。その点だけが残念だ」
「陛下、わたくしの教育不足で申し訳ございません」
父は俺ではなく、母に冷たい目を向けた。
そんな目をされるのは、俺のはずが、父は母を責めていた。
「王の力を捨てた国は多い。今、残っているのは隣国ドーヴハルクと我が国だけです」
王の力は犠牲の力だ。
それぞれ、力や犠牲の条件は違っても、近しい人間の命を代償にするのは同じ。
王の力は愛する人を奪う忌まわしいもの――捨てた王家のほうが多い。
「神から与えられた力を失えと?」
「時代は変わり、王が戦場に出向くことも減りました。王の力は必要ない時代です。父上で最後にしていただきたい」
――母を救いたい。
母の命の対価で得るほどの力ではない。
俺は母が犠牲にならず、生きていてほしいと願っていた。
「では、ジグルズ。剣を抜け。お前が勝てば、王の力は必要ないと認めよう」
父の琥珀色の瞳が赤く染まり、『先を見る』王の力を使ったのだとわかった。
言われた通り剣を抜く。
俺が勝てば、父は諦め、母は死なずに済む。
俺は幼い頃から、母が死なずに済むよう学問、武芸、外交に力をいれ、完璧な王子になろうとしてきた。
――父に勝つ!
先がわかる父に、奇襲を仕掛けたところで無意味だ。
なら、剣の腕で勝つ――それしかない。
父は剣を抜き、不敵に笑う。
――相手は油断している。考えろ。どうすれば、勝てるのかを!
数回、父は俺の剣の腕を確認するのに、軽く受け止めるだろう。
まずは、自分のほうが優位だと思い込ませる。
俺の予想通り、父は軽く俺の剣を受け止めた。
父は子供と遊んでやっているという顔をしていた。
だが、父が俺の剣を叩き落とそうと、攻撃に出た瞬間、身を引いて守りに徹する。