さようなら、お別れしましょう
「ジグルズ、どうした?」
これが罠であることに、父はまだ気づいてない。
己の力を過信したせいだ。
父が攻撃に回った瞬間、俺は反撃した。
父の持つ剣を弾き、地面に落とすと喉元に剣先をあてた。
「ジグルズ、おやめなさい!」
母の止めた声で、勝負がついた。
剣を鞘におさめ、息を整える。
まさか負けるとは思っていなかった父が、赤い瞳を大きく見開いて呆然としていた。
「父上。王の力は完璧ではありません」
「なんだと?」
「相手からの攻撃を見切るために使うなら、便利な力ですが、瞬時の反撃には弱い」
そして、目の動きが相手の動きについていけなければ、力も発揮されない。
つまり、いつでも力を使えると己を過信し、鍛えていない人間が使うのであれば、たいした効果を持たない。
「ジグルズ。お前は非凡な子だ」
父の赤い瞳が俺を見る。
失望と嫉妬が入り交じった表情を浮かべている。
「それに比べ、イーザックは従順で可愛らしい子だ。教育すれば、なんの疑問もなく、妻を殺し、次の王へ力を渡すだろう」
父は落ちた剣を拾いあげた。
「だが、イーザックは平凡すぎる。イーザックでは他国の王と渡りあえん」
「ジグルズ、陛下があなたを褒めてくださいましたよ。あなたは優秀で賢い子ですからね」
喜んだ母を父は冷たく哀れむような目で見ていた。
父の母を見る目に、嫌な予感がした。
自分の剣の柄に降れた瞬間、目の前で赤い薔薇の花が散った。
母が好きだと言った赤い薔薇の花。
散ったのが赤い薔薇の花ではなく、母の血だと気づく。
「母上っ!」
剣で刺し貫かれた母は、父を見上げ、驚いた顔をしていた。
「ジグルズが王としての自覚を持てないのは、お前の教育が悪いせいだ。王の力を継承すれば、嫌でも自覚するだろう」
「も……うしわけ……ありません……。陛下……」
これが罠であることに、父はまだ気づいてない。
己の力を過信したせいだ。
父が攻撃に回った瞬間、俺は反撃した。
父の持つ剣を弾き、地面に落とすと喉元に剣先をあてた。
「ジグルズ、おやめなさい!」
母の止めた声で、勝負がついた。
剣を鞘におさめ、息を整える。
まさか負けるとは思っていなかった父が、赤い瞳を大きく見開いて呆然としていた。
「父上。王の力は完璧ではありません」
「なんだと?」
「相手からの攻撃を見切るために使うなら、便利な力ですが、瞬時の反撃には弱い」
そして、目の動きが相手の動きについていけなければ、力も発揮されない。
つまり、いつでも力を使えると己を過信し、鍛えていない人間が使うのであれば、たいした効果を持たない。
「ジグルズ。お前は非凡な子だ」
父の赤い瞳が俺を見る。
失望と嫉妬が入り交じった表情を浮かべている。
「それに比べ、イーザックは従順で可愛らしい子だ。教育すれば、なんの疑問もなく、妻を殺し、次の王へ力を渡すだろう」
父は落ちた剣を拾いあげた。
「だが、イーザックは平凡すぎる。イーザックでは他国の王と渡りあえん」
「ジグルズ、陛下があなたを褒めてくださいましたよ。あなたは優秀で賢い子ですからね」
喜んだ母を父は冷たく哀れむような目で見ていた。
父の母を見る目に、嫌な予感がした。
自分の剣の柄に降れた瞬間、目の前で赤い薔薇の花が散った。
母が好きだと言った赤い薔薇の花。
散ったのが赤い薔薇の花ではなく、母の血だと気づく。
「母上っ!」
剣で刺し貫かれた母は、父を見上げ、驚いた顔をしていた。
「ジグルズが王としての自覚を持てないのは、お前の教育が悪いせいだ。王の力を継承すれば、嫌でも自覚するだろう」
「も……うしわけ……ありません……。陛下……」