さようなら、お別れしましょう
 ゼリヤたちはジグルズ様を守れなかったことを悔やんでいた。
 私と二人きりにしなければ、こんなことにならなかったと。
 涙をこぼす、ハリルのそばに行き、ぎゅっと抱き締めた。

「心配かけてごめんなさい。ハリルたちは悪くありません。私が一緒にいなければ、ジグルズ様がこんなことには……」
「ジグルズはどこへ行っても、こんなものだ。誰も責任を感じる必要はない」

 カリム様は呆れた顔をして、眠るジグルズ様を見、ハリルの背中を押した。

「食事をするかどうか、俺が見張っていよう。お前には他にも仕事があるのだろう?」
「……ジグルズ様の手紙には、町の見回りをするようにって書いてありました。あと、好き嫌いしないでちゃんと食べろって」
「なら、それをやらないと、ジグルズが目覚めた時、叱られるぞ」
「はい!」

 ハリルは食事を置くと、部屋から急いで出ていった。
 
「さて、ジグルズと俺、レフィカ妃の三人になったな」
「私のことはレフィカとお呼びください。イーザック様が愛している本当の妃は、別にいますから……」
「今となってはどうだろう。俺が見た感じでは、レフィカのことを愛していないとは思えなかった」
「でも、イーザック様は私に興味を持てないと……」
「興味がなくても、生死の淵に立たされた生き様を見ているうちに、愛おしくなるものだ」

 カリム様の藍色の瞳は、私を見ているのに、カリム様は私ではない誰かを見ているような気がした。

 ――イレーネお姉様のこと?

 カリム様は私の隣まで歩いてくると、ジグルズ様の寝顔を見下ろした。

「王の力は犠牲の力。ジグルズの瞳を見たか?」
「はい。瞳が琥珀色から赤く染まってました」
「そうか」

 カリム様はジグルズ様から話を聞いているらしく、王の力を持つと知っても動じなかった。

「リュザール王は、どんな王の力をお持ちなのですか?」
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