さようなら、お別れしましょう
「陛下。レフィカ妃がいらっしゃいました」
「は……? レフィカが……?」
 
 今、レフィカのことを考えたばかりだ。
 タイミングの良さに驚き、顔を上げた。

 ――もしや、運命?

 侍従が扉の前から動かず、困惑した様子で、もごもご言っている。

「いえ、その……来られたのですが……」
「どうした? レフィカが来たのだろう? レフィカは俺に用事があるのではないのか?」
「陛下にレフィカ妃から歩み寄るとは、素晴らしい!」
「これは幸先がいいですぞ」

 大臣たちもレフィカが戻ったと聞き、大喜びだった。
 だが、侍従は微妙な顔をしていた。

「レフィカ妃はジグルズ様を伴い、お二人は陛下に謁見を求めております」

 ――なぜ、兄上と一緒に?

 一緒に来たと聞いて、俺の前の前で、二人が仲良く会話をする姿を思い浮かべ、それを見たくないと思った。
 レフィカは自分をかばい、命がけで助けた兄上を信頼しているだろう――きっと俺よりも。

「ジグルズ様の傷が癒えたお礼でしょう」
「我々は席をはずしたほうがよさそうですな」

 大臣たちは兄上が、レフィカをかばって刺されたと、ベルタの話を聞いて知っている。
 二人揃って、俺の元へ来た理由は、勘のいい人間ならわかる。
 俺は大臣たちが出ていくのを黙って見送った。
 大臣たちと入れ替りで執務室へ入ってきたのは、兄上とレフィカだった。
 兄上は元気そうで、いつも通りの笑顔を浮かべている。
 レフィカは部屋に入るなり、俺にお辞儀をした。

「イーザック様、お久しぶりです。リュザール王国行きの許可をいただきまして、ありがとうございます」
「いや、それは別に……リュザール王国に兄上を助けてもらった恩があったからな」
「リュザール王家には、お礼を申し上げました」
「俺からも改めて礼を言おう」
 
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