さようなら、お別れしましょう
「ドーヴハルク王家からのものか?」
「さ、左様でござますっ! 親書が届きました! ドーヴハルク王がレフィカ様の様子をうかがいに、我が国に訪れたいそうです」

 ――ドーヴハルク王がここへ来る。

 ドーヴハルク王は彫刻のような顔立ちで、若い頃は相当の美貌の持ち主だったのではないかと思われる。
 長い銀髪、冷酷な青い目、耐え抜かれた体には無駄な脂がなく、いるだけで威圧感がある。
 大勢の王子の中で生き残り、王位を手にした男だ。
 外見からして、ただ者ではない雰囲気を漂わせている。

「お父様がいらっしゃる……」
「ドーヴハルク王か」

 レフィカと兄上もまた、ドーヴハルク王の訪問に表情を曇らせた。
 
「ドーヴハルク王国とは同盟を結んでいる。断るわけにはいかない」

 ドーヴハルク王は、俺とレフィカの仲を探るためにやってくるのだろう。
 自分の血を引く子をグランツエルデ王にしたいと、野心家のドーヴハルク王は考えている。
 もし、俺とレフィカが不仲だとわかったら、レフィカはどうなるのだろうか。
 ドーヴハルク王が来ると聞き、レフィカは気持ちが沈んだようで、青い目を悲しげに伏せていた。
 その顔を見て、自分のことのように胸が痛んだ。
 ドーヴハルク王に逆らえば、【契約】を持レフィカは死ぬかもしれない。

 ――レフィカ、俺たちは別れられないと、わかっているだろう?

 重い空気が流れ、正しいはずの自分の言葉。
 二人の前で、その言葉を口にすることができなかった。

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