さようなら、お別れしましょう
 ジェレンは怪訝そうな顔をし、イーザック様から届いたドレスや靴、宝石を横へやった。

「それが、イーザック様はなにも言ってこないのよ……」

 私が五つ目の【契約】を教えてほしいとお願いしたのが悪かったのか、イーザック様とはあれ以来、一度も顔を合わせていない。
 それはジグルズ様も同じで、避けられているらしい。
 ジグルズ様は王宮に来たら使う部屋をお持ちだそうで、そちらに滞在している。

「ジグルズ様のお屋敷から、レフィカ様のドレスを持ってきました。こちらをお召しになりますか?」
「ええ。そうね」

 さすがに毒は仕込まれていないと思うけど、ジェレンたちはなにかウラがあるのではと怪しんで、使う気になれないようだ。
 それは、他の侍女たちも同じだった。
 
「メリア様がいなくなったから、別居を解消して、レフィカ様を妃に戻すなんて、都合がよすぎますわ!」
「まずは、レフィカ様に謝罪をしていただかないと!」
「なにもなかったような顔で、夫として振る舞うおつもりでしょうか?」

 今までの冷遇ぶりを考えたら、ジェレンたちのように思って当たり前だ。
 
「イーザック様は同盟を維持するため、私を妃に戻したいのかもしれません」

 もしかしたら、シャルク・ホジャへ帰れない可能性もある。

 ――このまま、王宮でイーザック様の妃として、私は縛られ続けるの?
 
「レフィカ様……。泣かないでくださいませ」
 
 ジェレンがハンカチを差し出した。
 気づかないうちに泣いていたらしく、私はハンカチを受け取って、涙をぬぐう。

「わかっております。レフィカ様の今までの行動は、【契約】を無効にし、自由になるのが目的だったのでしょう? リュザール王国へ行ったのも、イレーネ様にお会いするためだったのではないですか?」
「ジェレン……。なぜ、それを……」
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