さようなら、お別れしましょう
 それに対し、父は幼少の頃から命を狙われていたこともあり、戦闘経験はイーザック様よりも上だ。
 かなりの腕前ではないかと、想像できた。

「剣の勝負をしたいなら、俺でよろしいのでは?」

 ジグルズ様が前へ出た。

「ジグルズ様……! 父と剣の勝負だなんて……」
「レフィカ、心配ない」

 ぽんっと私の頭を叩いて、いつものように笑った。

「王を守るのは貴族の役目。公爵である俺が代わりに引き受けましょう」
「ジグルズか。いいぞ。王の力を拒むお前に、王の力を使わせるのも一興だ」

 すでに父は、ジグルズ様が王の力を継承していると気づいていた。

「どうして、お父様はジグルズ様が王の力を持っていると知っているのですか?」
「簡単なことだ。王の力は必ず身近な者を犠牲にする。お前が犠牲になったようにな」

 ――私はまだ生きている。

 それなのに、父は私の死が確定しているような口ぶりだった。
【契約】を簡単に無効にはできないと、父から言われたような気がした。
 
「さて、ジグルズ。王の力を見せてもらおうか?」

 父は嬉々として剣を抜いた。
 ドーヴハルク王に即位するまで、一度の負けも許されなかった父。
 負ければ、待っているのは死だった。
 父は大勢の王子たちの屍の上に立っている。
 それが父の自信の源でもある。
 自信に満ち溢れた姿で、ジグルズ様に剣先を真っ直ぐ向けた。

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