さようなら、お別れしましょう
グランツエルデ王国風の色鮮やかな屋根の建物が並ぶ。
その中で一階が食堂、二階が宿になっている宿屋を選んだ。
うまくいけば、次の日の朝の朝食も一か所で済ませることができて便利だからだ。
その宿屋の扉を開けた瞬間、『あ、失敗したな。他の宿屋も考えるべきだったか』と思った。
「よそからの客か」
「しかも、珍しいぞ。琥珀色の瞳だ」
「グランツエルデ王家の直系は、琥珀色の瞳をしていると聞くが、まさかな?」
入ったなり、注目を集めた。
早くも正体がバレそうになっている。
――しまった。ここは貴族御用達の店だったか。
彼らの服装は平民を装っているが、雰囲気からして平民ではない。
他の宿より清潔そうに見えたのは、お忍びの貴族たちがよく使う場所だったかららしい。
身ぎれいな人間しかいなかった。
「どこからきた?」
「名前は?」
「グランツエルデ王家の血を引いているのか?」
店を出るつもりが、矢継ぎ早に質問され、逃げるタイミングを失った。
――偽名を使うか?
「そのくらいにしておけ」
迷っていると、奥のほうから背の高い銀髪の男が、貴族たちに追及をやめるよう命じ、立ち上がる。
ドーヴハルク人は銀髪が多いが、その男の髪は純銀で、彫刻のような端正な顔立ちをしている。
そして、鍛え抜かれたがっしりした体に、重そうな幅広の剣を持つ。
あの剣を片手で扱い、それを軽々使いこなせるなら侮れないと思った。
――細い剣だと、一撃で折れるかもしれないな。
飲んでいた酒のジョッキをテーブル置いて、近づいてくる。
貴族たちがすばやく道を開け、頭を下げた。
「俺の知り合いだ。奥のテーブルで話をしよう」
――いや、初対面だが。
だが、ここは話を合わせたほうがよさそうだ。
「お久しぶりです」
その中で一階が食堂、二階が宿になっている宿屋を選んだ。
うまくいけば、次の日の朝の朝食も一か所で済ませることができて便利だからだ。
その宿屋の扉を開けた瞬間、『あ、失敗したな。他の宿屋も考えるべきだったか』と思った。
「よそからの客か」
「しかも、珍しいぞ。琥珀色の瞳だ」
「グランツエルデ王家の直系は、琥珀色の瞳をしていると聞くが、まさかな?」
入ったなり、注目を集めた。
早くも正体がバレそうになっている。
――しまった。ここは貴族御用達の店だったか。
彼らの服装は平民を装っているが、雰囲気からして平民ではない。
他の宿より清潔そうに見えたのは、お忍びの貴族たちがよく使う場所だったかららしい。
身ぎれいな人間しかいなかった。
「どこからきた?」
「名前は?」
「グランツエルデ王家の血を引いているのか?」
店を出るつもりが、矢継ぎ早に質問され、逃げるタイミングを失った。
――偽名を使うか?
「そのくらいにしておけ」
迷っていると、奥のほうから背の高い銀髪の男が、貴族たちに追及をやめるよう命じ、立ち上がる。
ドーヴハルク人は銀髪が多いが、その男の髪は純銀で、彫刻のような端正な顔立ちをしている。
そして、鍛え抜かれたがっしりした体に、重そうな幅広の剣を持つ。
あの剣を片手で扱い、それを軽々使いこなせるなら侮れないと思った。
――細い剣だと、一撃で折れるかもしれないな。
飲んでいた酒のジョッキをテーブル置いて、近づいてくる。
貴族たちがすばやく道を開け、頭を下げた。
「俺の知り合いだ。奥のテーブルで話をしよう」
――いや、初対面だが。
だが、ここは話を合わせたほうがよさそうだ。
「お久しぶりです」