怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡
他校の男子たちが一瞬黙る。 神崎くんの威圧感は、こういうとき本当にすごい。

「……ど、どうも」 さっきまで軽かった声が急にしぼむ。

神崎くんは何も言わず、ちらっとわたしを見た。

「こっち」 短く呼ばれて、わたしは反射的に彼のあとを追った。

教室の奥、暖簾の陰になる場所まで来ると、神崎くんが足を止める。

「大丈夫か」 声の温度が一気にやわらかくなる。

「うん、平気だよ」 「顔、引いてた」 「少しだけびっくりしただけ」 「無理すんな」 「してないよ」 「してるときのおまえ、わかる」

まっすぐ見つめられて、胸がきゅっとなる。

「……ありがとう」 「礼いらねぇ」 「でも助かった」 「当たり前だろ」

神崎くんはそう言って、少しだけ眉をひそめた。

「ほんとは接客、俺がやめさせたかった」 「そんな」 「けど、おまえ楽しみにしてたし」 「うん」 「だから我慢してる」
< 39 / 100 >

この作品をシェア

pagetop