怖いはずの彼は、今日も私にだけ甘い♡
な、何それ。 どういう意味。 不良っぽい見た目なのに、そういうこと平気で言うの、ずるい。

「か、神崎くん、そういうこと誰にでも言うの?」 「は?」 「勘違いするから……」 「誰にでも言うわけねぇだろ」

低く返された声に、私はそっと顔を上げた。

神崎くんはまっすぐ私を見ていた。

逃げ場なんてないくらい、真剣な目。

「おまえだから言ってる」

その一言で、心臓が跳ねる。

風が吹いた。 なのに、呼吸がうまくできないくらい熱い。

私はもう、認めるしかなかった。

神崎蓮が好きだ。

怖いと噂されているのに、本当は誰より優しくて。 不器用なくせに、肝心なときだけまっすぐで。 私が困っていると、絶対に放っておかない人。

好きにならないほうが無理だった。

でも。

好きだと気づいたその日から、私は少しだけ苦しくなった。

神崎くんは人気がある。 本人が愛想を振りまかなくても、目立つし、かっこいいし、放っておかれない。 休み時間には、ほかのクラスの女子が遠くから見に来ることもある。

そんな人が、どうして私なんだろう。
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