偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
会議が終わった後もまだドキドキしていた。
本当にこれでよかったのか、皆を巻き込んでしまったんじゃないか。
でも、会議室から出るとき、慧さんに肩を叩かれた。
「よかったな」
「はい、ありがとうございます」
その言葉につい微笑んでしまう。きっと彼は助け舟を出せたのに、会議では発言しなかった。自分が口をはさむことでそっちのほうに意見が流れるのを恐れたのだろう。
それが分かってるし、その気遣いが嬉しかった。
慧さんは加える。
「俺だって、片瀬と同じ立場なら同じ判断をしたと思うよ。よりいいものにしたいっていう気持ちは止められないからな」
「はい」
「ただし、変えるなら、今まで以上のものを作る。中途半端に変えるくらいなら、元の案で進めたほうがいい。分かってるな」
私は力強く頷いていた。
「はい、分かっています」
私は慧さんを見て、はっきり答えた。
その返事を聞いて、慧さんがほんの少しだけ口元を緩めた。