偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
第十一章 告白
帰りの車の中でも、慧さんは病室でのことを思い出すたび、くすくすと笑っていた。
「……そんなに笑わなくてもいいじゃないですか。私だって、あんなこと言うつもりじゃなかったんですから」
「いや、ごめん。悠里を混乱させたのは俺なのにな。でも、『私が息子さんを必ず幸せにします』はなかなか忘れられない」
「お願いだからもう忘れてください」
「それは無理だな」
きっぱりそう言って、また笑っている。
自分の失言を思い出せば今でも顔から火が出そうなくらい恥ずかしいけれど、病院へ向かう途中にはあれほど強張っていた慧さんの表情が、今はもうすっかりいつものものに戻っている。それを見ると、恥ずかしさよりも安堵のほうが少しだけ勝った。
お父さまも無事だったし、今夜、この人がこうして笑っていられるのなら、それでいいのかもしれない。