偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「それにしても、これからも顔を合わせる相手だからこそ、すぐに別れました、とは言えないけどな。最後もまだ疑っているようだったし……」
「……それもそうですよね」
「今日だけ俺が婚約者を名乗って、来週には別れたなんて言ったら、相沢はどう思う?」
「……嘘だったって思いますね」
「だろうな。そうなれば、また同じことの繰り返しになる可能性が高い」
「ですよね……。どうしよう」
せっかく久世部長がここまでしてくれたのに、理玖がまだ疑っている以上、明日にでも婚約解消したことにすればすべてが嘘だったと自分から認めるようなものだ。
かといって直属の上司にいつまでも婚約者のふりをしてほしいなどと頼めるはずもない。
途方に暮れている私を見ていた久世部長が、少し考えるように目を伏せた。