偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
「あのさ、これは提案なんだけど」
「はい」
慧さんは少し考えるように間を置いてから、まっすぐ私を見た。
「嫌じゃなければ、俺からもきちんと話をさせてくれないか。相沢さんとはこれからも仕事で関わることがあるし、中途半端なままにするより、一度しっかり話をしておきたいんだ」
「え……でも……」
「迷惑か?」
「いや、そういうわけじゃないですけど。でも、私のプライベートな問題に、部長を巻き込みすぎてるかなって」
婚約者のふりをしてもらっただけでも十分なのに……。
さらに一晩泊めてもらって、そのうえ理玖と話までしてもらうなんて、さすがに頼りすぎではないだろうか。
そう思っていると、慧さんは少しだけ目を細めた。
「悠里は俺の彼女なんだろ」
「……っ」
あまりにも自然に言われて、胸が跳ねる。
慧さんはそんな私を見て、ほんの少し楽しそうに微笑んでいた。