偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
翌朝、用意してもらった朝食を食べたあと、私は自宅へ戻ることを慧さんに告げた。
「本当に大丈夫か」
「はい。このまま逃げていても何も解決しませんし……。自宅に荷物もありますし、帰ります」
理玖の行動は、今思い返してもやっぱり怖い。
オートロックの中まで勝手に入ってきたことも、嫌がっているのに抱きしめられたことも、なかったことにはできないし、もう二度と同じことをされたくないと思う。
それでも、一晩ここで過ごして少し冷静になれたことで、いつまでも自分の家から逃げ続けるわけにはいかないとも思えるようになっていた。
何より、昨日とは違う。
ひとりで何とかしなければいけないと思っていた昨日までとは違って、困ったときには頼っていい人がいると知っているだけで、不思議と心強かった。