偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!

「だから、もう悠里の気持ちを疑ったり、無理に関係を戻そうとしたりするのはやめてください。彼女は何度も自分の意思を伝えている。それをこれ以上無視するのは、俺としても許せません」

 声を荒らげているわけでもないのに、一言一言がはっきりしていて、理玖はしばらく何も言い返さなかった。

「……上司だからって、そこまで口を出すんですか」
「上司として言ってるわけじゃありません」

 慧さんは一度も視線を逸らさない。

「悠里の恋人として言っています」

 また、胸が大きく跳ねた。

 今は理玖に信じてもらうために言っているだけ。
 わかっている。

 わかっているはずなのに、『恋人』という言葉がこんなにも嬉しいなんて、自分でもどうかしている。
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