偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
――慧さんが困ったとき……今度は私が助けますから。
あのときは勢いで言ったものの、この人の役に立てることなんて本当にあるのだろうかと思っていた。
何が起きても冷静で、仕事もできて、いつも私より先に状況を見ている慧さんを、私が助ける場面なんて想像もできなかった。
だけど、何も慧さんが困っているときに駆けつけることだけが『助ける』ということではないのかもしれない。
仕事なら、私にもできることがある。
慧さんがこれまで一人で背負ってきた仕事を少しずつ引き継いで、安心して任せてもらえるようになることだって、きっと彼の助けになる。
そう思った途端、さっきまで胸の中を占めていた不安の中に、ほんの少しだけ違う気持ちが混じった。