偽りの婚約者さまは、この関係を終わらせる気がない!
怖い。失敗したらどうしようとも思う。
それでも、やってみたい。
慧さんが私なら任せられると思ってくれたのなら、その期待に応えたいし、いつまでも助けてもらうだけの自分ではいたくない。
私は膝の上でぎゅっとこぶしを握ってから、結城課長に向き直った。
「はい……。そうですよね。やってみようと思います」
「うん。その意気だ」
「結城課長。私ではまだ力不足なところも多いと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします」
椅子から立ち上がって頭を下げると、結城課長は少し驚いたあと、すぐに笑った。
「こちらこそ。リーダー、よろしく」
「……はい!」
その呼び方にはまだ全然慣れなくて、少しだけむず痒い。
それでも、さっき会議で名前を呼ばれたときほど、もう怖くはなかった。
いつか慧さんが本当に困ったときには、私が助けたい。
まずは仕事でくらい、ちゃんと頼ってもらえる私になりたいと思った。