君の才能ごと、独り占め

5☆熱い気持ち

それから数日、私はずっと彼の言葉に振り回されていた。

俺の前でだけ素でいればいい。

その一言が、何度も頭の中で繰り返される。

まるで特別扱いみたいで、期待してしまいそうになる自分が怖かった。

でも、期待は意外な形で少しずつ現実になっていく。

朝のホームルーム前、私は机の中に一通の手紙が入っているのを見つけた。

白い封筒。差出人の名前はない。

中を開くと、短い文章が並んでいた。

目立つからって調子に乗らないで。
みんなあんたをすごいと思ってるわけじゃない。
榊くんに近づかないで。

文字を見た瞬間、指先が冷たくなった。

こういうものは初めてじゃない。

前の学校でも似たようなことはあった。才能があると言われれば、羨望だけじゃなく反感も生まれる。わかっていたはずなのに、実際に目にすると胸が痛んだ。

しかも最後の一文が、何より刺さった。

榊くんに近づかないで。

自分でも気づいている。私は最近、彼を頼りすぎていた。気づかないうちに、周りから見れば目障りなくらい近くにいたのかもしれない。

手紙を握りしめたまま俯いていると、隣の席の椅子が引かれた。
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