君の才能ごと、独り占め
「何持ってる」

顔を上げると榊くんがいた。

「なんでもない」

咄嗟に隠そうとしたけれど、彼の目は誤魔化せない。

「見せて」

「大丈夫だから」

「橘」

低く名前を呼ばれて、私はそれ以上言えなくなった。ゆっくり手紙を差し出すと、榊くんは内容を読んだ瞬間に表情を失った。

いや、正確には、さらに冷えた。

「これ、いつ入ってた」

「たぶん朝」

「他に見たやつは」

「いないと思う」

「先生には」

「まだ」

榊くんは紙を丁寧に折り直し、私の机の上に置いた。

乱暴に扱わないところが、逆に彼の怒りを感じさせた。

「今日は俺から離れるな」

「え」

「移動教室も昼も放課後も」

「でも」

「でもじゃない」

その声音に、教室の空気がぴんと張る。

近くにいた何人かがこちらを見た。でも榊くんは気にしていなかった。
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