君の才能ごと、独り占め
なるほど、と思う。

確かに、近寄りやすい空気ではない。

昼休み、私は机に頬杖をつきながら窓の外を見ていた。食堂に行こうか迷っていると、隣から小さな音がする。榊くんが立ち上がった気配だった。

「あの」

思わず声をかけると、彼は静かに振り返った。

「食堂って、混むかな」

聞いてから、我ながら間抜けな質問だと思った。初日で地理感覚がないとはいえ、もっと聞き方があったはずなのに。

けれど彼は笑わなかった。

「今からならまだマシ」

「そうなんだ」

「案内しようか」

短い言葉に、私は目を瞬かせた。

「え」

「迷うだろ」

「……迷うと思う」

「行くなら今」

それだけ言って、彼は鞄から財布を取り出す。どうやら本気らしい。

私は慌てて立ち上がった。
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