君の才能ごと、独り占め

2☆わたしが"わたし"と思えたら

食堂で席を探していると、空いている四人席を見つけた。座ろうとしたら、近くにいた女子たちがひそひそとこちらを見る。

その理由は明らかだった。

榊くんが一緒だからだ。

私はなんとなく気まずくなり、トレーを持ったまま立ち止まる。

すると榊くんは、私の手元の味噌汁を見て眉を寄せた。

「危ない」

次の瞬間、後ろからぶつかってきた男子の肩が私の腕に当たった。ぐらりと器が傾く。熱い、と思うより先に、ぐっと手首を引かれた。

体が斜め後ろに引き寄せられ、味噌汁はこぼれずに済んだ。

気づけば私は、榊くんの胸元すれすれにいた。

「ご、ごめん!」

ぶつかった男子は青ざめて謝ると、すぐに去っていった。

周りもざわついている。

でも私には、そんなことを気にする余裕はなかった。

近い。

近すぎる。

榊くんの手がまだ私の手首に触れている。骨ばっていて、ひんやりしていて、でも力は驚くほどやさしかった。

「平気」
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