君の才能ごと、独り占め
自分で選ぶ。

そうだ。
私はもう、誰かに押されるだけの私じゃない。

「……出る」

恒一くんの目が、わずかにやわらぐ。

「講堂、出る」

「うん」

「一曲だけ、ちゃんと弾いてみる」

そう言った瞬間、怖さの奥に、確かな高鳴りが生まれた。

恒一くんはほんの少しだけ笑う。

「なら、本番終わったら最初に俺のところ」

「またそれ言う」

「大事だから」

「わかった」

「絶対」

「絶対」

すると彼は満足したみたいに頷いたあと、ふいに私の頬に手を伸ばした。

指先がやさしく触れる。
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