君の才能ごと、独り占め
最初はぎこちなかった。
でも、数小節もすると不思議なくらい息が合う。

彼が支えてくれる。
急がなくていいと言うように、音で包んでくれる。

私はその上に、そっと旋律を乗せる。

気づけば、怖さを忘れていた。

うまく弾かなきゃではなく、つながっていたいと思って音を出していた。

曲が終わる。

最後の音が消えたあともしばらく、私は動けなかった。

「……楽しかった」

こぼれた声は、驚くほど素直だった。

恒一くんがこちらを見る。

「なら、もう答え出てる」

「え」

「楽しいって思えたなら、やる意味ある」

胸の奥に、あたたかな光がともる。

「でも怖いのは消えないよ」

「消えなくていい」

「いいの?」

「怖くても、星音が自分で選ぶなら意味がある」

その言葉に、ゆっくりと息を吸った。
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