君の才能ごと、独り占め
「無理です」

教室の入口から、低い声が落ちた。

振り向くと、恒一くんが立っていた。

表情は穏やか。
でも空気が少し冷える。

「榊くん」

「片づけ、手伝いに来た」

そう言いながらこちらへ歩いてきて、私と先輩の間に自然に入る。

「このあと用事あるので」

「え、でも本人に」

「ありますよ」

私が言うより先に、恒一くんが答えてしまう。
先輩もさすがに空気を察したらしく、苦笑した。

「ああ……そっか。ごめん、邪魔した」

そう言って去っていく。

教室の中は、一瞬しんとなったあと、ひそかなざわめきに包まれた。

「今の、完全に」

「だよね」

「榊くん、やば」

私はその場で固まるしかなかった。

恒一くんはそんな周りの反応も気にせず、私の手元の箱を取る。
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