過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
金曜日の夜。
社内での騒動から2週間が経ち、二人は都心から車でふたりきりの旅路についていた。
行き先は、山あいにひっそりと佇む老舗の温泉旅館。
緑深い庭園を抜け、案内されたのは完全なプライベートが保たれた離れの客室だった。
「わぁ・・・すごく素敵なところ・・・・・。」
広々とした和室の向こうには、湯気を立てる専用の半露天風呂と、夜の風に揺れる竹林が見える。
結衣が感嘆の声を上げながら縁側に立つと、背後からスッと伸びてきた強い腕に、すっぽりと腰を抱きしめられた。
背中に伝わるのは、廉の確かな体温と鼓動。
「廉くん・・・っ。」
「・・・やっと、誰の目も気にしなくていい場所に来れましたね。」