過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
あの温泉旅館での夢のような週末から、2ヶ月が過ぎた頃。
自宅のリビングで、俺は青ざめた顔でたたずむ結衣ちゃんをしっかりと抱きしめていた。
彼女の手の中に握られていたのは、くっきりと二本の陽性反応ラインが浮かび上がった妊娠検査薬だった。
「どうしよう、廉くん・・・。私、ちゃんとお母さんになれるのかな・・・。それに、順番も逆になっちゃったし、廉くんに迷惑を・・・・・。」
不安と困惑で涙をこぼす結衣ちゃん。
けれど、俺の胸の中に湧き上がったのは、不安なんて微塵もない、狂おしいほどの歓喜と感謝だった。
あの旅先の夜。
俺のすべてを受け入れてくれた彼女の中に、俺と結衣ちゃんの愛の結晶が宿ってくれた。
これ以上の奇跡が、この世にあるだろうか。