過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
廉が配属されてから2ヶ月が経過した。
仕事の呑み込みが早い廉は、既に部署内の誰もが認める頼れる新人になっていた。
職場では''優秀な後輩と頼れる教育係''として完璧に振る舞っている二人だったが、結衣の心休まる時間は激減していた。
二人きりになった瞬間、廉は容赦なく''男''の顔を覗かせてくるからだ。
エレベーターで一瞬、二人になった時の意味深な視線、資料を渡される時にわざと指先を絡められる触れ合い────
そのたびに結衣の心臓は乱れ、ペースを狂わされていた。
そんな中、金曜日の夜に廉の歓迎会が開催された。
「瀬戸くん、本当仕事早いよね! 結衣とのコンビもバッチリじゃん!」
「藤崎先輩の教え方が分かりやすいおかげですよ。」
一次会の居酒屋で、廉は先輩社員たちの注ぐ酒を爽やかに受けながら、場を大いに盛り上げていた。
結衣の向かいに座り、時折ふと目を合わせては、結衣にしか分からない甘い笑みを浮かべてくる。
(もう、みんなの前でそんな顔しないでよ・・・。)
ドキドキする胸を誤魔化すように、結衣は手元の生ビールを飲み干し、勢いでカクテルを数杯煽ってしまった。