過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
『私なんて・・・付き合ったってどうせ重いって思われるし、いつか飽きられて捨てられるの。』

​その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が焼き切れるほど痛んだ。

大学時代、あんなクソみたいな男のために一人で泣いていた彼女の姿が鮮明に蘇る。

どれだけ彼女が傷つき、どれだけ一人でその痛みを抱え込んで生きてきたか。​


『あんな男と一緒にしないでください。』


​気づけば、彼女を逃がさないように壁際に追い詰め、手を掴んでいた。

カッコよく
「上書きしてやる」
なんて言ったけれど、俺の言葉に恐怖した結衣さんの目から大粒の涙がこぼれ落ちた時、血の気が引いた。​


(やばい・・・・・。俺、またこの人を怖がらせて泣かせた────。)​


絶望しかけた次の瞬間、結衣さんは幼い子供みたいにしゃくりあげながら、自分の弱さを全部俺に見せてくれた。

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