過去の傷も全部、君の熱で上書きして。
都心の閑静な住宅街に立つマンション。
通された廉の部屋は、余計なものが置かれていないシンプルで洗練された空間だった。
けれど、そこかしこに廉の香水の甘い香りが漂っていて、足を踏み入れただけで結衣の胸は高鳴ってしまう。
「結衣さん、そこのソファでくつろいでてください。すぐ作っちゃいますから。」
「あ、私もお手伝いするよ?」
「ダメです。今日は一日仕事で疲れたんですから、お姫様みたいに座っててくだい。」
ジャケットを脱ぎ、ワイシャツの袖を腕まくりした廉がキッチンに立つ。
包丁をトントンと手際よく動かす後ろ姿は、とても3つ下の後輩とは思えないほど頼もしく、そして大人の男性の色気に溢れていた。